ブラミツイワ03-3 築40年の家
ブラミツイワ物件No.3 の三回目です。
前回では、建物外観の「顔」となる部分を、40年前に近づけるような修繕を行いました。
行った方法としては、保管されていた杉板だけでは足りなかったので、痛みの少ない隣地側から状態の良いものを選定し、正面玄関側に設置を行いました。
この作業によって、隣地側は当然杉板が足りなくなってしまいます。
再度、杉板を製作するという方法も技術的には可能ですが、現在の物価や人件費を考えると、とても高額な修繕となってしまいます。また製作時間を考えると、これも長期戦となってしまい、修繕時間の超過になってしまします。
そこで、隣地側はお客様と一番いい方法を相談し「杉の羽目板を縦貼する方法」を提案させていただき、ご納得いただきました。
お客様の思いを受け止めながらも、現状との比較やメリット、デメリットを説明し、コスト・納期を含めたより良い建築提案が行えることも、建築会社としては大切な提案能力だと考えています。
さて、それでは早速、施工風景をご覧いただきましょう。
まずは既存の板を全て剥がした状態です。
ここに下地処理として、雨水侵入防止の処理を施します。
防水処理は、透湿防水シートです。
透湿防水シートとは?
透湿防水シートとは、外壁と断熱材の間に施工されるプラスチック製のシートです。
名前の通りですが、透湿性(水蒸気を通す性能)と防水性(水を弾く性能)の両方を併せ持っています。
透湿防水シートの役割
住宅の高気密高断熱化に伴い、室内で発生した湿気が壁体内に滞留し結露を起こす事が指摘されるようになってきました。この結露がカビの温床となってしまってハウスダストなどの問題を引き起こしてしまいます。
近年の住宅では、外壁材と断熱材の間に通気層と呼ばれる空気の通り道が作られていることが多いです。
透湿防水シートを断熱材と通気層の間に挟むことによって、透湿性(水蒸気を通す性能)と防水性(水を弾く性能)の役割を果たすことが可能になります。
役割①:室内の湿気が壁の中で結露するのを防ぐ
役割②:外の雨水が室内に入り込むのを防ぐ
隣地をお借りして、足場を組んで施工を進めていきます。
防水シートが貼り終わったら、次のステップは外壁となる板張りです。
今回は縦方向に板を貼っていきます。
縦方向に板を貼るメリットは、風雨に晒された時に壁に水が滞ってしまうことを防いで、地面までの流れをしっかり確保できること。
正面の杉板鎧張りと比較した際に、横方向の板張りだと、親和性が高いのですが、ここだけやめたのかな? という憶測を連想させる可能性があるので、あえて縦長にすることによって、鎧張りとは異なる施工をしていることを視覚的にわかるようにしました。
こうすることで、この面だけあえて異なる壁にした。というデザイン的なストーリーが生まれると考えます。
↑今回使う木材。
雰囲気良く仕上がっているんじゃないでしょうか?(自画自賛)
これを塗装し、仕上げていきます。
次回は、水洗い、屋根塗装工事に入っていきます。
完成までもう少し!
40年前の建物が、修繕されどうなったか?仕上がりをどうぞお楽しみくださいませ。
つづく